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新500円硬貨の発行は、やってはならない政策
2000.8.4
 近々、新500円硬貨が発行されるが、これはおかしい。何がおかしいのかというと、「変造500円硬貨による自販機の被害が相次いでいるため、新しい硬貨を発行する」という流れがおかしい。

 新500円硬貨の登場は、当然ながら、既存の自販機の新500円硬貨対応が必要になるから、自販機メーカーやその識別装置メーカーに特需をもたらす。しかし、考えてみて欲しい。そもそもその識別装置の出来が悪かったからこんなことになったのである。その、最も責任が問われるべきメーカーが返っておいしい目を見るというのは、あってはならないことである。

 変造500円玉というのは、そもそも人間が騙される類のものではない。自販機だから騙されるのである。人間が容易に見分けがつくものすら判別できずに騙される自販機は、どう考えても不良品である。変造500円玉の被害に会うのならそれは当然、自販機メーカーの責任に帰すべきことであり、500円玉のせいでも500ウォン硬貨のせいでもないのである。

 このことは、日本の500円玉よりも韓国の500ウォン硬貨の発行が遅かったことによって弁護されるものではない。そもそも大きさや重さが同じ硬貨などというのは世界中にあって当然と考えなければならないし、変造硬貨が流行したら、自販機メーカーとしては@すでに流通している自販機については修理を行い、Aそれ以降に出荷する自販機では対応を済ませるのが当然である。これは、例えば自動車メーカーによるリコールと比べるとよい。リコールの場合メーカーに責任があるが自販機の場合は偽造する人が悪いじゃないかという見方もあろう。それなら、こう好例がある。例えばMicrosoft WindowsやInternet Explorerなど、セキュリティホールが見つかれば当然新しい修正版を無料で配布するではないか。この場合、ハッカーが硬貨偽造者に相当するわけだ。

 そんなセキュリティホールのある自販機を作っていたメーカーが、さらに新500円硬貨の登場という追い風を受けてますます甘い汁を吸うというのは、全く話がおかしい。500円玉の製造だって我々の税金が使われるのだ。どうして自販機の欠陥をおぎなうために税金が投入されるのか?

 問題はそれだけではない。新500円玉の投入はモラルハザードを呼ぶ。すこし判定の甘い認識装置や自販機を作っておけば、やがて偽造団が現れ、そのあとには国が新硬貨や新紙幣を出してくれ、特需が期待できる……そういう前例をつくってしまったのだ。もはや自販機メーカーの業界は、高度な認識装置を開発する必要などない。それどころか、裏でシンジケートを操り、せっせと偽造硬貨を作って流通させた方が、再び新硬貨の発行が期待できるというものではないか。

 ○×建設が国道のトンネル建設を受注したとしよう。○×建設は思いきり手を抜いて工事したところ、完成後わずか3年で崩落して、死傷者を出した。そこで、国がまた○×建設に、トンネルを作り直すよう発注したとしたらどうだろう? 崩落するトンネルを作ることこそが、自社の将来の利益につながることになるのである。これこそ、モラルハザードのおそろしさだ。

 新500円玉と自販機メーカーの関係はこの仮想のケースに酷似している。私は当局と自販機メーカーの癒着などあるとは思っていないが、癒着がたとえ存在していなかったにせよ、こういった形の新硬貨の発行は、やってはいけないことだったのだ。



Hope to close さんのコメント:
Very stupid! No.32
閉鎖希望 さんのコメント:
婆 亀 ! No.31
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