区分所有権を廃止し、 集合住宅は賃貸専用とすべし
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2003.12.21
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毎週のように、大量の、分譲マンションの折り込み広告が入る。また、中古マンションのチラシも実に多いが、非常に高いと言わざるを得ない。たとえば今日入ってきた広告に、築30年のワンルーム(専有面積33.05u、7階建3階部分)が2,180万円とある。東京・山手線のとある駅から徒歩5分に立地するが、信じがたい価格だ。
それはよいとしてしてもだ。最近は、都心から比較的近い地域では、まとまった広さの土地があると、すぐに分譲マンションが建てられる。ある記事によれば、住宅業界では都心の大きな物件をマンションにして売れば必ず大きな利益があるといい、物件の確保だけが問題だそうだ。
そりゃそうだろうと思う。単に土地を転売するよりも、住宅を建てて付加価値をつけ、しかも集合住宅という形でより多くの人にさばいた方が、売れるのであれば、良いに決まっている。
しかし、一旦集合住宅として分譲してしまった土地が、再度更地になったり一戸建ての家になるということはほとんど起こりえない。不動産屋が儲けるためだけに、安易に集合住宅をパカパカ建てていくのはいかがかと思う。だいたい集合住宅は、数十年後に補修や立て替えの問題が生じたときに非常に面倒なことになる。マンションの場合、所有権とは言っても、「売る」「貸す」以外には自由のきかない限定された権利だ。
私は、集合住宅は賃貸専用とし、区分所有権を認めない法改正を行うことを主張したい。要は、分譲マンションを禁止するということだ。(民法上の「共有」も禁止)
これで非常にすっきりする。建物一つごとに、オーナーは一人(または一社)となる。数十年後の立て替えや補修の問題も起こらない。不動産屋が儲けたいからというだけの理由でマンションの乱開発が行われることもなくなるだろう。そもそも、乱開発して売り逃げということが不可能になる。土地をそのまま転売して開発はあとの持ち主にゆだねるか、所有し続けて大家となりずっと保守していくしかない。
投資用にマンションを購入するケースだってある、との反論があるかもしれない。だが上記のような社会になれば、賃貸集合住宅を取得・建設するための資金が必要になり、大量の不動産投信が発行されるだろう。個人が不動産を運用したければ、証券化された土地を細切れに買えばよい、そういう時代になったって良いはずだ。
都心の土地はどんどん集合住宅にして土地の有効利用をした方が良いではないか、との反論があるかもしれない。私は出だしで集合住宅が増えることに不快感を示したが、提示したプランは必ずしも集合住宅を減らすとは限らない。むしろ、増える可能性だってある。不動産屋の都合によるゆがんだ開発ではなく、もっと真の需要と供給に見合った開発が行われるようになるだろう。特に、売り逃げるわけではないので、手抜き工事のマンションは建ちにくくなる。老朽化が進めば全面改装や立て替えの決断も容易であるし、現在より総じて街並みや住宅環境は上がるのではないだろうか。
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