タクシー釣り銭の支払いは、乗務員側の義務と明文化すべし
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2007.11.15
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タクシーでは、釣り銭をめぐって乗客と乗務員(運転手)とトラブルになることが多い。乗務員側が、釣り銭の持ち合わせがなかったり、もしくは釣り銭の支払いを拒否したりするのである。
1,000円以下の支払いに対して1万円札を出すと、そんなトラブルの元である。だが、このようなケースでは、乗客も多少は恐縮する。タクシーでなくとも、タバコ1箱買うときに一万円札を出すのは多少恐縮するのは、正常な感覚であろう。事実、小売店にとって釣り銭の確保は課題の一つでもある。こんなことで、乗客や乗務員が、コンビニで少額の買い物をして一万円札をくずすのでは、自分のところのやっかいごとをコンビニにそのままスライドして押しつけているだけで、全く自分勝手な行為でしかない。
私など、3,000円程度の支払いに対してさえ一万円札の受領を拒否するような乗務員にも出会ったことがある。こういうトラブルに遭遇するのは、多分に個人の特性も関係するだろう。もし私が、体格がたいそう良くて、ケンカに強そうに見えれば、こんなトラブルとは無縁だったかもしれないのだ。乗客が見るからにヤクザであれば、乗務員は、たとい釣り銭の持ち合わせが本当になくとも、自らタバコでもガムでも買いに行って万札をくずすに違いない。だが中には、相手が自分より弱いと見れば、たとい釣り銭があったとしても、なるべく使いたくないから小銭を要求する、不届き者の乗務員だっているだろう。
タクシーの特殊事情もある。だが、それぞれの言い分は、どっこいどっこいである。
乗務員を擁護するなら、防犯上の理由が挙げられよう。タクシーは密室だし、乗客はヤクザか強盗かもしれない。釣り銭用に大金を積んで走るわけにはいかないのである。無論、それは会社の方針ともなりうるし、乗務員個人は少ない釣り銭でやりくりすることが強要されることとなり、釣り銭が不足しがちなのは仕方のない面もあろう。
乗客側の特殊事情もある。まずもって、タクシーは乗って目的地に着かないと料金が分からないことが多々あるのである。また、急な雨に傘がないとか、終電車を逃したとか、タクシーを利用する動機は、計画的でない場合が多い。そんなときに、小銭や千円札の持ち合わせが足りないことがあるのは当然なのである。
こう考えると、釣り銭を巡る乗客と乗務員のトラブルは、起きるべくして起きていると言える。解決策は何か。やはり、釣り銭の調達は乗務員側の責務として、法律や省令に明記するのが良いのではないか。もし釣り銭が不足してきたら、乗客が乗り込む前に「おつりがないけどいいですか?」と確認するようにする。自動販売機だってそうなのだから、「空車」表示のヨコに「釣り銭切れ」と表示するようにしたってよい。
もし釣り銭を支払う段になっていよいよ足りなければ、乗務員がお札をくずしに行くことになる。そのために遠回りになるなら、メーターは一時停止しなければならないだろう。もしコンビニでくずすなら、クルマに乗客を放置していくのは防犯上の問題があるから、クルマを施錠して乗客に店内への同行を求めることは可とするしかないだろう。最初に書いたように、これはツケをコンビニに持って行っているだけで決して行儀の良いことではない。こうするうちに、タクシー会社とコンビニの提携が進み、釣り銭の両替を行うような提携関係ができることを期待したい。釣り銭が少なくなってきても、営業所に戻ったり、余計な買い物をしたりしなくても、乗務員は最寄りの提携コンビニで両替ができる——なんと素敵ではないか。
こういったコストがゆくゆく料金に跳ね返ることは、当然である。
Tack'ns Entrance