このように事実上の独占状態が許されている著作物であるが、おまけに再販制度で更に守られている始末である。驚くべきことに、なんとも手厚い二重の保護が与えられているのである!!
著作物には、「独占」と「再販」の二重の保護が与えられている。
さらに音楽著作物には、日本音楽著作権協会(JASRAC)の独占という三重の保護が与えられていた。
再販というのは独占禁止法の「再販売価格維持行為の禁止」の除外規定にあたることである。再販売価格とはメーカーその他から仕入れた流通業者が第三者に転売するときの価格を言い、「再販売価格の維持行為」とは何らかの力で定価販売を流通業者に強制することである。再販という言葉は「再販売価格」だけでなく「再販売価格維持行為の禁止の除外項目であること」あるいは「再販売価格維持」などといった意味を表す略語であるが、略し方としては不適切であるように思える。まあそれはどうでもいい。いずれにせよ、「再販指定商品」とは、定価販売を強制する事が法的に認められた商品のことである。
さて、書籍やレコード、一部の医薬品が再販の除外品目に指定されている。書籍とレコードといえば著作物の代表だ。しかし、こんな二重の保護を与えることは果たして正当なのだろうか。なお再販制度も新聞社にとって都合が悪いため、このあたりの動きはマスコミからは読みとれないことが多い。
この二重の保護があるので、かれらはまず「独占」によって「製造者」→「店」の部分の価格破壊を阻止し、次に「再販」によって「店」→「消費者」の部分での価格破壊を阻止している。
しかし、くりかえしになるが、「独占」を認めるには、「無条件」というわけにはいかない。
【今後の著作権のあり方】
さて今後の著作権のあり方であるが、一旦、再販制度を含めて、一から見直す必要があるだろう。供給者の論理だけではなく、利用者の論理もまた取り入れなくてはならない。
音楽の場合ことさら、プロモーションの段階で一方的に耳に入れ中毒状態にさせ、その後手に入れようとすると高い金銭を要求するというのではフェアではない。利用者にとってだって、最初に「耳に入れてあげる料金」を請求する権利があるだろう。しかし、利用者に最も都合の良い立場、例えばCDを友達と割り勘で購入し、または貸し借りし、複製して売り……ということを無制限に認めていると、あきらかに著作権者に対して不利になる。この中で両者にとって妥当な線をさぐるのは簡単な作業ではないだろう。
しかし、一旦世の中に発表した著作物に対し、無制限に権利を主張できる状態というのはどう考えても尋常ではない。CDを販売しておきながら、「個人で私的に聞くことを認めただけでそれ以外の利用に関する権利は全て著作者に」などというのは無茶な話である。公の場に公開した以上、最低これとこれは譲らなくてはならないといった条項があってしかるべきだ。店舗での利用、友人間の貸し借りは当然、この範囲内だと私は思う。また原曲をそのままmp3にして公開するのはまずいかもしれないが、歌詞を引用したり、MIDIを作成して公開すると言うことに対してまで、最初の著作者の許諾が必要などというのは健全な状態とは思えないのである。
今はそれらを全て白紙で考え直すには、いい時機でもある。