古賀衆院議員、学歴を詐称
カン違いも十分あり得る。
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2004.1.24
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衆院事務局にも「ペパーダイン大卒」 民主・古賀議員
民主党の古賀潤一郎衆院議員(福岡2区)が昨年の総選挙後、衆院事務局に届け出た経歴にも、大学側が卒業を否定している米ペパーダイン大卒と記載していたことが23日、明らかになった。...
私には分からないのである。
詐称するメリットがあまりにもなさすぎる。「ペパーダイン大卒」というあまり名を聞かぬ大学を卒業したということによって、得票が増えるのだろうか。「ペパーダイン大卒」だからという理由がプラスに働いて、彼に投票する人がいると思うだろうか。当選という目標に対する効果があまりに小さすぎる。かといって、リスクは大きい。本当に卒業していないのなら、その真実を知る人も一人や二人じゃないはずであり、また、調査すれば証言や証拠はいくらでも出てくる。ばれるのが当然で、しかもゼロイチで判定できる、ごまかしようのない性質のものだ。ばれれば、今回のように議員辞職に追い込まれるのは必至だというのも大体予想がつく。(私は辞める必要はないと思っているが)
というわけで、ばれるリスクとそのときのダメージを考えると、学歴を偽ることのメリットはあまりに小さく、とても見合うだけの行為ではないと思うのだ。
従って、私は彼の言うとおり、「本当に卒業したものと思いこんでいた」のだと思う。
「そんなバカなことがあるものか?」と思うかもしれないが、そんなことはない。
彼はペパーダイン大卒に通っていたことは事実だ。すると、当然「留学していたんだ」ということは周りの人に話すだろう。これはウソではない。周りは(特に日本は)大学に行っていれば当然そこを卒業したいう風に思うのは、別に不思議ではない。彼が「ペパーダイン大学に行った」と事実を話しても、周りは「ペパーダイン大卒だ」と受け止めるのは仕方のない話なのだ。周りが「卒業した」とカン違いするのは勝手であるし、ここで彼が「中退なんだけどね(笑)」とわざわざ言わなくたって別に責められる話ではない。
すると今度は、別の機会にその知り合いが古賀氏を別の人にこう紹介するのである。「彼は実に優秀で、アメリカの大学を出て、……」という具合だ。古賀氏にはそこで「いやいや中退で...」と言わなければならない責任は別にない。周りはさらに「へ〜、じゃあ英語もおできになるんですねえ」とか何とか、持ち上げるのである。これの繰り返しだ。
そうこうするうちに彼のイメージは周りが作り上げてしまい、彼もまた、それを敢えて否定する気も起こらず、だんだん「そういうこと」になってしまってきた。とするうちに時にはウソをウソで塗り固めてごまかさなきゃいけない局面もあっただろう。後に引けなくなってきたのである。今更、中退だなどと言えるわけがない。ある意味彼は可哀想な被害者だ。
こうして長年過ごすうちに、暗示と自己欺瞞とが入ってきても全然不思議ではない。やがて「そうだおれはペパーダイン大卒だったのか」「おれは卒業していたんだ」という自己欺瞞である。これは、いつの間にかウソの自分を作り上げている罪悪感を解消しようとする、自己防衛的な自己欺瞞なのである。そして自分でも卒業したと信じ込むようになり長い間たって、突然「学歴詐称ではないのか」と指摘されたのである。「あれ、そうだっけ???」……瞬間、彼の頭が混乱し、何が真実か分からなくなったとしても無理はない。
見てきたようなことを言うなとお叱りを受けるかもしれないが、遠く外れてはいないだろう。この事件は、ある種人間の弱さが出た、いやな後味のする事件なのだ。
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