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いわゆる「ショットバー」に分類される店でこの傾向が強かったように思いますが、最近では「賺した和食ダイニングバー」でもこういうところが増えてきました。
「お通し」「チャーム」(またはテーブルチャージに含む)と呼ばれる無条件且つ強制的に出す小皿のつまみを、戦略的に、つまみを注文した後で、あるいは、つまみはとりあえずいらないと伝えた後で、提供するよう工夫しています。ショットバーはお酒を飲むことが目的なので、少量の「お通し」があれば、別に料理を注文するほどでもないことが少なくありません。ですから、先に「お通し」を出してしまうと、つまみを注文しない客が増え、売り上げが下がります。このことを普段から良く認識していないと、「口が寂しいから何かつまみが欲しい」という理由でミックスナッツ等を注文してしまい、そのあと「お通し」が出てきて「そっかナッツはいらなかったな」と後悔することになります。
では、「スカした和食ダイニングバー」でも、一通り料理を注文するまでお通しを持ってこないのはなぜでしょうか。さすがにこの手の店では、お通しが来たからといって「他に料理はいらない」というわけにはいかないでしょう。
実はこれも、程度の問題にすぎず、ショットバーのケースと同じに考えることができます。お通しを先に出してしまうと、視覚的な満腹感やテーブルスペースの問題で、それと意識せずに注文する料理の数を抑え気味になりやすいと言えます。ですから、少しでもたくさんの料理を注文して欲しい、でもお通しの料金ももらいたい、というお店側のせこさがあらわれた結果であると考えられます。
先に「お通し」が出てこないと、客にとっては、後で「お通し」で出てくる物と同じ料理や似た料理を注文してしまうというリスクがあります。店によっては「お通し」を2〜3種類用意しておいて、客の料理の注文内容によって出す「お通し」を変える、といった工夫をしているところもあります。