最近腹の立つこと
肉料理・魚料理という分類はおかしい
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2000.5.11
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しかし、われわれが食べるいわゆる「肉」の主なものは、なんといっても牛肉・豚肉・鶏肉の三種類である。お気づきのように、鶏肉は哺乳類ではない。哺乳類でないばかりでなく、味や食感もまた、牛・豚・羊・馬などの肉とはあきらかに一線を画している。良くカエルの肉が鶏肉に近いと言われるが、その通りである。
そこへいくと、鳥についてはいまいち認識が甘い。鳥類が哺乳類でないのは、貝類が魚類でないのと同様だが、どうもそこまで決定的な区別は与えられていないように思える。といっても、鶏肉が肉屋で売っているのがおかしいと言いたいわけではない。鶏肉が肉料理の方に分類されていることも、魚に分類するより明らかな説得力があると私には思えないが、いずれかに分類する以上、分類したって構わない。
しかし、「お前は肉が好きだから鶏肉も好きだろう」という理論が全く成り立たないことに注意してもらいたいのだ。牛肉と豚肉は似ているが、牛肉と鶏肉は似ていない。鶏肉を一度も食べたことのないものが初めて口にして、これは肉か魚かと問われたときに誰もが肉と答える、などというばかげたことはないだろう。やはり鶏肉は別物なのだ。
鳥類の中で実際に食するのはほとんどがニワトリであり、ウズラ・カモ・七面鳥・ダチョウなども食べることは食べるがニワトリはダントツである。このことが、鳥類の立場をますます悪くしている。鶏肉だけのためにカテゴリーを一つ増やすわけにはいかないのだ。おまけに肉類は他に、よく使うのは牛肉と豚肉の二種類しかないことを考えると、ますます「鶏肉」を「肉類」に分類したくなるのだろう。
しかし、哺乳類と鳥類はやはり違う。便宜的な分類はどうでもよいが、「昨日は牛肉を食べたから今日は魚にしよう」などと言わないで欲しい。鶏肉、という選択肢もあるのだから。
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