最近腹の立つこと
ゴミぐらいだまって処理しろ、 図々しい高速道路SA・PA
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2000.5.7
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今私の手元に、「いつもきれいなエリアをめざして」という小冊子がある。道路公団が、パーキングエリアのゴミの減量を推進するために無料配布している広報誌だ。これ以外にも、道路公団は、パーキングエリアのゴミ減らしを利用者に呼びかけること盛んである。厚顔無恥とは、このことを言うのだろう。
こう言うと、一部の地球環境主義者からは反対の声が聞こえてきそうだ。しかし、ちょっと待って欲しい。私は、社会レベルでのゴミの減量化の推進に反対しているわけではない。それは良いことだ。しかし、道路公団が主張しているのは、そうではない。あくまでも「パーキングエリア内のゴミの減量化」である。要するに、自分とこだけはゴミをなくしてきれいにしたいというだけのことなのだ。図々しいにもほどがある。
この呼びかけの悪質なところは、正に今私がふれたように、一見エコロジーを装った偽善的なところである。実際のところ、偽善どころではない。社会全体の、ゴミを減らすべしという風潮に便乗して、自分のところのゴミを減らそうと言うずるがしこさである。昨今のエコロジーに対する国民の関心度から言って、ゴミを減らそうと言って文句を言われることはまずないだろうと考えているに違いない。私はだまされない。
もう一度繰り返す。彼らが言っているのは社会レベルのゴミの減量化ではない。「ゴミは他で捨ててくれ」ということなのだ。
仕組みがまず問題
冊子によると、このゴミの処理の費用は、パーキングエリア内のレストラン等の収入でまかなっていると言うことである。これは、驚くべきことだ。ゴミ箱の設置というのはレストランとは無関係に、高速道路に当然あって然るべきサービスである。通行料に上乗せして構わないから、ゴミ処理の費用ぐらいキチンと用意しておくべきなのだ。
平成10年度で約43億円がゴミ処理にかかったと冊子には書いてあるが、その額は問題ではない。ゴミはどのみち処理しなければいけないのだ。問題にするなら、もっと少ない費用でそのゴミを処理することができなかったかという、いわゆる省コスト化という面での議論の方だ。しかし、ゴミそのものを捨てるなというのはおかしい。ゴミが捨てられるのも、それに費用がかかるのも、当たり前のことなのである。それを、被害者ヅラをして43億もかかったと声高に叫ぶのはあまりに厚かましい。例えば、民間のホテルが、一日のゴミの処理に○○円ものコストがかかっているから、なるべくゴミは出さないでくれ、と宿泊客に言っているようなものだ。
禁止するのは家庭ゴミだけにせよ
関越自動車道の三芳パーキングエリアは、関越でも最も東京寄りのPAだけあって、持ち込みゴミが非常に多く、ゴミの量では全国でもトップクラスだ。要するに、行楽地で出たゴミ、例えばバーベキューを楽しんだ後のゴミであるとか、それらを高速道路で捨てていってしまう人が多いのだ。
だから何だというのか。帰り道のパーキングエリアでゴミを捨てていくというのは、とても理にかなっている。ここで捨てて良いのなら、山や河原でゴミを捨てていく不届き者は減るだろう。政策的に、パーキングエリアに大きなゴミ捨て場を設けて、「海や山のゴミはサービスエリアで捨てましょう」とやってもいいくらいである。誰だって家までゴミを持ち帰りたくないから、大自然の中にでもゴミをおいてきてしまうのではないか。
もちろん、産廃業者が捨てていったり、家庭のゴミをわざわざ持ってきて捨てるというのは考えものだし、それは禁止しても良い。しかし、どうせどこかで捨てられるか、悪くすると不法投棄されるゴミなら、国の所有である高速道路の付帯施設で捨てるようにした方が良いではないか。高い通行料金を払わされた上に、ゴミを捨てるくらいで悪者扱いされるのでは、利用者としてはどうにも腹の虫がおさまらないのである。
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