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最近腹の立つこと
コンビニが脅かす、消費生活の多様性
 読売ジャイアンツがそれほど嫌いなわけではないけれども、「ジャイアンツファン」を嫌いだという、いわゆる「アンチ『巨人ファン』」という人種がいる。そういう言い方で整理すれば、私は全くコンビニエンスストアが嫌いではないのだが、かなりの「アンチ『コンビニ族』」ではあるということになる。

 コンビニは比較的新しい小売店の形態であるワリに、われわれの生活にすっかりとけ込んでいる。店舗数は国内に5万店とも言われ、これはほぼ2500人に一店舗という数だ。売上は一店舗あたり年間2億円程度、扱う商品は3000アイテムといったところである。書籍類の販売も好調で、驚いたことに全国の書籍の販売額の1割以上をコンビニがさばいている。ワンルームマンションの家賃が駅からの距離だけでなく、どれだけコンビニに近いかによって決まるとさえ囁かれる。ことほどさようにコンビニは現代人の生活になくてはならないものとなっているのである。

 私はコンビニ自体の存在に否定的ではない。だが、人々が購買活動の場を過剰にコンビニに依存することに対しては、どれだけだって警告を発して惜しみはしないだろう。とはいっても、何も便利さに慣れすぎることへの警告を発するつもりではない。まして地元商店街振興のためにチェーン店を排除しようという気もない。その証拠に、大規模なスーパーマーケットでの買い物は、私はむしろ奨励したいくらいだ。

 問題は、コンビニは消費者に成り代わって商品を選択してしまうという点だ。われわれはコンビニで買い物をする限り、コンビニがあらかじめ選択して仕入れた商品の中からしか、物を選ぶことができないのだ。スーパーだって同じかもしれないが、コンビニの扱う品目の少なさとジャンルの多様さが、商品を絞り込む作用をことさら大きくしている。コンビニがいよいよ勢いを得ている今日では、メーカーによるコンビニの陳列棚の陣取り合戦は大変な熾烈さだという。そこに贈賄に似た行為が行われていたとしても何ら不思議はない。

 コンビニだけで買い物をしていては多様な商品には出会えないし、仕組まれた流行にしか触れることはできない。書籍をコンビニでしか買わないなどとなれば、なおさらだ。コンビニは消費者とメーカーのあいだに存在する巨大なフィルターなのである。コンビニ依存が高まれば高まるほど、メーカーは消費者よりまずコンビニに受ける商品を開発するようになる。

 だからどうしたというのだ? コンビニは消費者に売れるものを仕入れるのだから何の問題もないではないか。間接的に、消費者の嗜好が十分に反映されると考えられる。

 理論的にはそうだが、それは商品の種類がうんと多い場合の話だ。つまり、コンビニの扱う品目の少なさこそが正に問題なのである。われわれはコンビニで必ず目当ての商品を手に入れられるわけではないだろう。考えてみて欲しい。売れ筋のベスト10の曲しか扱わないレコード店でしか買い物をしなければ、どれだけあなたの音楽生活が貧弱なものになるだろう?

 しかしまことに残念ながら、コンビニが消費生活の多様性を根底から揺るがす存在であることに気がついている人は少ない。そればかりか、コンビニ依存症はますます広がっているように思える。しかしわれわれだって、いつまでもお仕着せの人気商品だけで満足しているほどお人好しではいられない。普段買っている物、もともと買う銘柄の決まっている物こそコンビニで購入しても良いが、そうでもない場合は努めてスーパーマーケットなどの大型店で物を買うように心がけなければならないのだ。

閉鎖希望1 さんのコメント:
婆萱老! No.51
閉鎖希望 さんのコメント:
婆 亀 ! No.50
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