不思議なもので、クルマの方が歩行者よりエラいと勘違いしている人は多い。また、クルマを運転しているときに普段と人格が変わってしまう人も結構いる。こういったことは、クルマが価格・維持費ともにそこそこ高いことと無縁ではないと私は考えている。そういう人に限ってプライドが高かったり心がすさんでいたり、あるいは「歩行者=貧乏人」というヘンな図式がアタマの中にできあがったりしているのだ。運転者は、あるときは自分も歩行者である、ということを忘れてしまいがちなのだろうか。とにかく、歩行者をクルマにとってのタチの悪い障害物くらいにしか考えないのである。
まあ、良識のある人ならそういった考えが思い上がりや錯覚に過ぎないことを十分に理解している。しかし、制度や実体としてそういった勘違いを固定化してしまいそうなものがあるとすれば、それは好ましくないことだ。実際に道交法は圧倒的に歩行者を保護している。
納得がいかないのは、大通りに面した駐車施設の出口にある「出庫注意」という警告の電光表示と警告音だ。歩道を横切らないと車道に出られないような地下駐車場などには特に多い。おい、注意しなくちゃなんないのはクルマの方だろうに、なぜかあの奇妙な表示とブザーは明らかに歩行者に注意を促し、クルマが来るのだから通るのを待てと言わんばかりだ。やかましいよ、なんとかしてくれ。
歩行者を保護するためには、確かに暴走して出庫するクルマを察知できるようなんらかの警告があっても悪くない。しかし現状は行き過ぎだ。理想的なのは、物理的に暴走状態で歩道を横切れないよう、一旦停止せざるを得なくするための遮断機でも歩道ギリギリの場所につけておくことだ。
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