—— 先生は、北方領土についてはどうお考えですか。
正直なところ、私はもうあきらめてしまっていいと思っている。自分で言うのもなんだが私は憂国の士だし、日本の領土が他国に取られるのは悲しい。しかし、今の状態で北方領土が普通に日本の領土として戻ってくるとすると、
「根室半島から橋を架けよう」
「北海道本島からトンネルを掘ろう」
「元住民の復帰と生活の安定並びに生活基盤整備事業」
とか言って、また土木・公共事業に巨費が投じられ、国の財政を悪化させるのはほとんど間違いないからだ。
—— なるほど、それは言えるかもしれませんね。
—— しかし一時的に支出が増えて国家財政が圧迫されるかもしれませんが、領土が増え、漁業資源も増えますし、天然資源に関する権利も増えるかもしれません。領土の問題は国家百年の計ですから、短いスパンで語るべきではないのではありませんか。
君はよく分かっている。その通りだ。しかしそれでも、私はもう北方領土を望むのは無理だと思っている。なぜなら、日本国家として、本当に北方領土を欲しがっているとはとても思えないからだ。
—— どういうことですしょうか。政府はねばり強く交渉を続けています。
本当は、
領土問題の解決なくして、国と国の友好関係なしというのが当たり前だ。領土問題が解決していなくて、ニコニコと首脳同士が握手している場合ではない。しかも我が国と来たら、ロシアに「領土問題は存在しない」などまで言われていたのだ。だが領土問題の決着がついていない状態は、国交として正常な状態ではない。
だいたい日本政府として、北方領土は日本固有の領土だという見解をはっきり示している。だとすれば、即、自衛隊を派遣しなくてはならない。自衛隊というのは、戦争に行くためのものではないが、「自国の領土を守る」ことがその存在意義であるはずだ。北方領土がロシアに占領されているというのは、紛れもなく自衛隊の出動するべき事由に相当する。
—— 確かにそうですね。
それにアメリカは何だ。日米安保条約というのは、日本の領土が他国に侵犯されたときにアメリカが一緒に戦ってくれるためにあるのではないのか。繰り返すが、北方領土の現状は、日本の領土に他国が侵入してきて、そればかりか、日本人が行くことすらできない。これはどう考えても「
非常事態」だ。
—— アメリカが戦ってロシアを追い出してくれないと言うのは、アメリカは北方領土を日本の領土だと認めてくれていないからなのでしょうか。
君、何とかホワイトハウスと連絡を取って、公式な見解を聞き出してはもらえないか。うやむやで許されるところではない。
—— 私も気になって、
Googleのイメージ検索で次のような単語を検索したことがあります。
fareast map
asia map
world map
すると、ロシアのサイト以外の地図では、北方領土は日本の色で表示されているものが多いのにびっくりしました。
世界的に見ても日本の領土という見解が優勢という証拠かもしれんね。
このやりとりの続きは「思想家T氏が語る/
(自衛隊とは何だろうか)」になります。