—— 先生は、今年は靖国神社には行かなかったのですか。
自分の家の中で靖国神社の方向を向いて、黙祷を捧げた。
昨日の早朝から熟考に熟考を重ねた上、現地には行かないことに決断した。
—— なるほど、家からですか。
そうだ。現役の政治家の諸君も、靖国神社を信仰するのは勝手だ。だが、家から拝めばいい。終戦記念日に現地に行けば、近隣諸国がまた猛反発するのは目に見えており、それが分かっていながら参拝する政治家諸君は、我が国にトラブルのタネを作ろうと思って嫌がらせをしているとしか思えない。
—— しかし近隣諸国もうるさすぎやしませんか。どうして我が国の内部の、たかが神社への参拝に、あれほど反発するのでしょうか。
そう思うなら、靖国神社に行ってみると良い。
ホームページを見ただけでも、雰囲気がつかめるだろう。特に
資料館など、戦闘機は展示するし、キャッチコピーは「
戦争を知らない世代に伝えたい。この感動……」ときたものだ。
靖国神社は神社という形は取っているが、戦争博物館と言っても良い存在であり、右翼の総本山である。あんなところに参拝すれば、いくら口で「戦争を二度と起こさない……」などと言っても信じてなんかもらえないだろう。
日本人の100人に一人も靖国神社に行ったことがないだろうが、日本へ訪れる韓国人や中国人は、かなりの確率で一度訪れるのではないか。そうすれば、「こんなところに政府首脳が参拝するとは信じられない」という想いを強めるのも無理もない。