—— 先生は、北朝鮮への「経済協力」を実施するべきだと思いますか。
拉致問題の解決と、核を中心とする安全保障。この二つが解決するまで、経済協力はお預けだ。私の立場は、今の政府と全く変わらない。
—— しかし、北朝鮮では飢えと寒さのため、国民がどんどん命を失っていきます。人道的な立場から、せめてコメの援助ぐらいはするべきではないのですか?
日本はずっと、コメ支援を繰り返してきた。しかし、それではだめだ。石原都知事が証言していたように、コメは日本の政治家や商社を通して換金されるか、せいぜい軍隊用の食料にしか回らない。我々が救いたいのは金正日政権ではなく、飢餓に苦しむ地方の庶民じゃないのか? しかし人道的立場から送ったはずのコメは、換金されて軍事投資になるか、兵の腹を肥やすために使われるかだ。
—— では、ちゃんと地方の貧しい国民にまで行き渡るかを、日本の派遣員や赤十字などが監視すれば良いのでは。
そもそも、外国人が北朝鮮の地方を見て回ることなど、もっとも北朝鮮のいやがることだよ。「そんな条件を付けるなら、コメ支援は断る」と、北朝鮮はきっと言うだろうね。
—— それでは、北朝鮮の飢餓に苦しむ庶民を救う手だてはないのですか。
コメを送るのが間違っている。コメは贅沢品だ。換金も容易だし、換金されなくとも北朝鮮の裕福な層がなお欲しがる品だ。
我々が助けたいのは、生きるか死ぬかで草や木の根をも食べている人たちなのだ。コメを送ることなんかない。アワ、ヒエ、キビ、などのもっとまずいとされるものでよい。あるいはもっとひどくても「普通じゃ食べないけれども、飢餓に苦しむ人なら食べられる」程度のものでも良いのだ。そうすれば、普段米を食っている人たちが搾取することなく、末端へ行き渡る可能性が多少は高まるんじゃないかね。それに換金するにしてもそれほどの価値がなく、引き取り手も少ないんじゃないかと思うが。