ある大手宅配ピザチェーンの割引に、次のような記述がある(割引クーポンではなく、常時行っている昔からの割引方法だ)。
(a) 取りに来て持ち帰る場合、一枚あたりMサイズ500円・Lサイズ700円の割引。
(b) 5枚以上の注文は、10%割引。
※割引の併用は不可
ところで、宅配ピザが高い理由は配達のコストであることぐらい、誰だって認識している。だから客としてみれば、「基本配達料+ピザ価格」という料金体系にしてくれても別に納得のいく話だろう。割引(a)の「500円引」というのは正にこの基本配達料にあたるコストのようにも見える。それにしても、3枚買えば1,500円も割安になるという点を考えると、単純に「基本配達料+ピザ価格」を意識して作られた割引ではない。
私がいいたいのは、(b)の割引が少なすぎる、ということである。ピザを5枚注文したときでも配達は1回ですむのだから、10%割引ではちょっと不十分なように思えるのだ。というよりもまず、そもそも2枚からある程度の割引があって然るべきではないだろうか?
ではなぜ(b)の割引があまり大きくないのか。……宅配ピザは高い。しかし、5枚も注文する人は、普通は自分の金ではなく、会社の金か、集めた金(割り勘やパーティーの会費)を使うのだろう。人間は自分の財布でなければあまり金額を気にしなくなるものだ。つまり、「取れるところから取る」という商売の原則を考えれば、ピザに限っては「大口の注文は割り引く必要はない」のではなかろうか。
例えばMサイズのピザはだいたい2,000円ぐらいなので、自分で取りに行けば(a)の割引により、1枚1,500円になる。Mサイズのピザ5枚を注文するとき、取りに行けば1500円×5枚=7,500円で、配達させると9,000円になる。
ピザを5枚も注文しても10%などというシケた割引しかないのなら、私ならそれよりも、常にあたたかいピザを食べたい。そして、ピザ屋に電話してこう注文するのである。
「ピザを5枚お願いします。割引じゃなくていいので、15分ずつずらして1枚ずつ持ってきて下さい」