最近腹の立つこと
音でビックリさせる、まやかしの恐怖映画
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2003.1.18
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怪談やサスペンスドラマなど、見る者を怖がらせることを目標としている映画は、そのストーリーの完成度が低く、話の筋だけで十分に怖がらせることができないときに、「音でビックリさせる」という手段をとることが良くある。私は、これがたまらなくイヤだ。
要は、不意に大きな音を出して、見る者を驚かせるのである。これは「怖かった」のではなく「ビックリした」という範疇になるのだが、両者は多分身体に与える影響が似通っているのだろう、非常に近い効果を見る者へ与える。その結果として、観客は「怖かった」と勘違いして、「怖い映画だった」という満足感を得ることになる。だが、これはまやかしだ。
同様の論理には、遊園地デートにおけるジェットコースターの例がある。(念のために言っておくと、こちらの稚拙な論理は私の自説ではなく、一種の通説だ) ジェットコースターに乗るとドキドキ感とスリルを味わえるが、それを恋愛感情のドキドキと重ね合わせることができて、良いのだそうだ。つまり、デートの相手は、単にジェットコースターにドキドキしただけなのを、自分へあこがれてドキドキしているように錯覚し、その後の進展に良い影響を与えるという説なのである。
「リング」(中田秀夫監督、松嶋菜々子・真田広之主演)という映画も私にとっては正にそれであった。ハッキリ言って音さえ大きくなければ私は全然こわくなかった。突然音が大きくなる映画は、劇場で見る場合はよいが、テレビやビデオで見るときには音が大きくなったときにボリュームを合わせることになるので、他の場面の会話が非常に聞き取りにくくストレスにもなる。
※「リング」……鈴木光司著の原作小説は評判が高いが、私は読んでいない。
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