最近腹の立つこと
議員は勝手に辞めるな
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2002.9.2
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今回の長野県知事選で田中康夫前知事が再選されたのを受けて、何人かの議員が辞職した。また今年の初め頃には、民主党の大橋巨泉・参議院議員が辞職した。
しかし、このような「議員辞職」というのは、一体何かと思う。議員というのは、有権者の一票一票が集まって初めて当選するもので、数千から数万人の有権者の期待を背負って「代議士」になったのである(「代議士」というのは本当は衆議院議員だけに使う言葉であるらしい)。自分勝手な辞職は許されて良いものではない。それは自分へ投票してくれた人への裏切りでもあり、有権者の票がその時点で無駄になってしまうのである。
この意味から、私は、田中真紀子・前外務大臣や辻元清美・元衆議院議員、鈴木宗男・元衆議院議員だって辞めるべきではなかったと思う。辞めるなら、自分を支持してくれていた有権者の判断を仰ぐべきである。
「悪いことをしたんだし、多くの国民はやめて欲しいと思ってるんだからやめるべきだ」という反論は残念ながらあまり正しくない。そもそも選挙とは、多くの国民がキライな候補者でも、選挙区の票を押さえれば当選する存在だ。中選挙区や比例代表においては、「こんなヤツ絶対当選して欲しくない」と思う人が大半であってさえ、一部の人の支持を得て一定の票を獲得すれば当選するのだ。※本当は「陶片追放」の制度があっても良いと私は思っているが、それは別として現行の選挙の仕組みに照らせば上記の通りである。
それから「議員辞職勧告」を国会が決議するというのも非常におかしな話である。この不思議な国会の意思表示は、国会議員が国会議員をやめさせようとする行為だ。国会の決議で一部の国会議員を辞めさせることができるのなら、過半数の議席を握る政党は、片っ端から他の政党の議員を辞職させる戦略をとることができる。しかし、それでは「議論」のための国会という場が機能しなくなる。仮に犯罪を犯したという理由があるにしてもなお、「議員辞職勧告案決議」というのはとても危険で矛盾な行動であると言わざるを得ない。
それでも、汚職等を理由に辞職するのなら、それほど理解が得られない話ではない。だが、「イヤになったから辞める」「思ったようにできないから」「やる気がなくなったから辞める」というのは言語道断である。冒頭で示した議員の辞職の例は正にこれではなかろうか。国会や県議会を変えられるのは唯一その議員だけなのだ。辞めれば潔いし抗議になるとかいう考えはやめて、議員は議員らしく最後まで議会で戦って欲しい。
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