最近腹の立つこと
来たエレベーターに、ムリヤリ乗りこめ。
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2002.5.12
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最近では、百貨店でも乗務員のいない自動運転のエレベーターが増えてきた。一部の古いデパートで今でも運行されている、ガラス扉で外が見えるタイプのエレベーターでは、乗務員が外を確認しながら加減速して階を通過することができるものもある。しかし、自動運転エレベーターは、律儀に、乗り場でボタンの押されている階すべてに停止して行く。
この場合の問題点はふたつある。まず、乗り場ボタンを押してエレベーターを呼んだにも関わらず、しびれを切らして乗り場を去ってしまうケースである。これは日常において全く珍しくない。エレベーターは、誰も待っていない階に停止してはドアを開く。これはとてつもない時間のロスである。本当は乗り場に、呼び出しキャンセルボタンを設けるなり、点灯したボタンをもう一度押すとキャンセルできるようになっていればよいのだが、これは乗り場の混乱を恐れてか、通常は設けられていない。
私が今回問題にしたいのは、もうひとつのケースだ。すでにエレベーターが相当混雑している状態で、ある階に停まったとしよう。ドアが開くと、そのエレベーターを呼んだはずの人が立っているわけだが、混雑したエレベーターを見て、待つ客同士でゆずりあったり、あるいはすでに乗っている人に遠慮してか、乗らずにやり過ごすことが多いのである。これは、本人から見れば一種「遠慮」であるつもりだろうが、これが一番いけない。こういうときにも、満員のブザーが鳴るまではムリヤリ乗るべきなのである。なぜなら、今回エレベーターがこの階に停止したことが無駄になる上に、遠慮して乗らなかった人たちは、またボタンを押してエレベーターを呼ぶのだ。次のエレベーターが混雑していればまたやり過ごして、再びボタンを押すだろう。混雑しているときのエレベーターなどこれの繰り返しだ。このせいでエレベーターは意味なく停まる回数がますます増え、効率が悪くなる。
それに、私が後ろの方で待っているのに、前の方の集団が遠慮して乗らないからエレベーターが行ってしまうと、とんでもなく迷惑する。
逆に、エレベーターは満員つまり最大荷重になるとエレベーター内のボタンを押した階だけにとまり、乗り場でボタンが押されていても通過するようになる。従って、すでに乗っている人から見ても、80%の乗車率で各階停車になるよりは、ムリに乗ってきてもらって満員ランプが点灯し、以降の階をすっとばせるほうがありがたい。すでに乗っている人の立場からみても、階に停止したときに乗り込ませないプレッシャーを与えるのでなく、つめて乗せてあげるようにする方が理にかなっているのだ。
とにかく、自分が呼んだエレベーターには、満員でない限りムリに乗り込む。たとえベビーカーを押していてもだ。これが、混雑時のエレベーターでの真のマナーだ。こうする結果として、エレベーターの無駄な停止が減って、結果的に総交通量を変えずに全体としての待ち時間を減らすことができるのだ。やたらと遠慮して乗り込まず、次回も明くる日もボタンを押して待ち続ける人たちのせいで、エレベーターの中からため息が消える日はやって来ないのである。
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