最近腹の立つこと
ホームページでフラッシュの多用乱用をするな
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2002.2.7
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企業などのホームページで、トップページにフラッシュによる動画をおいているところがどんどん増えている。私はこの傾向を、到底歓迎することはできない。
ホームページというのは、見る側が能動的にアクセスして見て調べる媒体であり、一方的に見せられるテレビ映像の類とは一線を画するものである。そして、正にそのことこそがホームページの強みである。「見たいときに見たい動画を見ることができる」というビデオオンデマンドと同じ価値しかホームページに見いだしていない人がいるとすれば、それは甘い。ホームページを使えば、猛烈な効率と速さで、見たい情報(主に文字と画像)に能動的にアクセスすることができる。かつてはどのサイトも、少しでも軽くするために画像の色数を落としたりインターレースGIFを利用したりして、素早く目的の情報を表示するための工夫をしていたものだ。
しかし、そんな「あるべき論」はこの際どうだってよい。私が言いたいのは、フラッシュによる動画など一体誰が見たがってるというのか、ということだ。あれほど独りよがりな存在も珍しい。よほど芸術的またはアニメ的、キャラクター的なサイトでもなければ、見る側はそんなFlashムービーなど期待していないはずだ。「見たい」と思う主体など存在していないのに、一方的に「見せたい」だけでなのである。凝っていることは分かる。金をかけたと言うことも分かる。しかし、だからどうだと言うのだ。早くおれの見たいと思っているものを出せ。
サービスやら会社概要やらお店の地図やらを調べに来た客に、わざわざその前に一方的に、時間を取らせる動画を見させるというのは、ものすごいことだ。営業時間を聞くために、予約をするために、お店に電話をしたとしよう。すると、いきなり「テッテケテッテケ……」と音楽が始まり、やがてナレーションが始まる。「本格的な素材 職人による手間をかけた調理 開放的なオープンテラス シャキーン! 南プロバンス料理 代官山ラ・バンセーヌ」と15秒ぐらい聞かされた後に、やっと店員としゃべれる。笑ってはいけない。Flashがやっているのは、正にこれだ。
私は、アクセスしたページのトップがフラッシュだった場合、9割以上の確率で即座に退去してしまう(Skipするのではない)。フラッシュによる動画を付けることがホームページの格を上げることだと思っているとすれば、それはページ製作の業者の口車に乗せられている可能性があるのではないか。並べて比べればフラッシュのページの方が立派に見えるかもしれないが、それ以前に、それは望まれていないのである。最初から「フラッシュの画像を見よう」と思ってホームページにアクセスしてくる人などいるはずもないのに、トップページにそれをおいて強制的に見させようという態度は到底的外れで、わざわざ訪れた客を門前払いする類の愚である。
さてここで、「Skip」すればいいではないかという指摘があろう。
まず言わせてもらうと、「Skip」がどこにあるのかを探すことさえメンドウだ。そして、独りよがりの“すばらしい”Flash作品を、訪れた客に無理矢理見せつけようという根性が、私の感情を逆撫でする。トップページにFlashを置くという無神経さから察して、たとえSkipしてもその先のページも重たかったり、見る側の立場で構成されていない可能性が高いと予想されるのだ。第一Flashは悪名高きActiveXコントロールで見るものであり、初回にFlashのコンポーネントをダウンロードするのもイヤだし、セキュリティの確認のメッセージボックスが出てくるのもうざったい。(セキュリティの設定を変える気はないことは言うまでもない)
さらに、おろかなことにこの「Skip」というリンクを、Flashの中に置いているものがなんと多いことか! Flashの外側にHTMLで書いてあれば、瞬時にそれを押せる。だが、Flashの中に置かれてしまっては、少なくとも全ムービーをダウンロードしてからでないとSkipできない。悪くすると、Flash制作者の“演出”で意図したタイミングまで、Skipをさがしてクリックするができないのだ。
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