—— インターネットと法整備について、先生はどのようにお考えですか。
別に何とも。
—— ファイル交換ソフトは違法な存在であると、法廷では判断されました。掲示板の管理者にも損害賠償など厳しい判決が下されています。これらは、インターネットの自由な発展を妨げるものであるとは思いませんか。
ルールというのはどんな世界にも必要だ。私は、禁止したり一定の規制を課すことは構わないと思うが、それが後手後手に回っているのは、フェアではないと思う。
それに著作権法の保護期間を今にいたって70年に延長するなんていうのは、どう考えてもイカサマだ。そうじゃない予定で動いていた人たちの権利はどうなるというのか。
—— そうですね。しかしインターネットがここまで普及し、また普及したときのことを、10年前に誰が予想できたでしょうか。
「どこでもドア」だって、そうだ。どこでもドアを使って他の家や金庫の中に侵入し、金品を盗むのは簡単なことだろう。確かに盗んだら窃盗罪だけれども何の証拠も残さずに盗めてしまうのだ。従って、「ファイル交換ソフト」を禁止するのと同じように、「どこでもドア」自体を禁止か規制するしか道はない。
こうして、「どこでもドア」が仮に発明されても、「こんな社会の秩序を乱すものは、とても一般には販売できない」という話になり、やがて規制を受けるだろう。それだったら、今のうちから「どこでもドア規制法」を作って、勝手にどこでもドアを製造・販売できないようにするべきなのだ。
—— は。。はぁ。しかし、どこでもドアができてからでも遅くはないんじゃないですか?
ダメだ。それじゃフェアじゃないと思わないかね?
私が言いたいのはこうだ。
どこでもドアを発明したら大金持ちになれると思って、全財産と持てる時間をつぎ込んで、研究している人がいたとする。もし完成して、大喜びしている段階で政府が気づいていきなり「どこでもドアは社会秩序を乱すので販売禁止」とでもされたら、彼はかわいそうじゃないか。
後付けで禁止禁止というのは、フェアじゃないと思わんかね?