—— 先生は、元来から人を評価するのに「やる気」というものを重視してないそうですね。
「実際のところ、やる気があるかどうかなどと言うのは、それほど重要なことではないです。重要なのは、潜在能力だ。言うまでもないことです。でもやる気というのは面白いものでね、基本的に、その他の能力に対してかけ算でかかってくる。その人の知識力・指導力・想像力を総合して足し算で80点でも、例えばやる気が0.7であれば、実質的には56点と同じ力しか発揮されない」
—— なるほど、普通の能力は足し算して総合力に影響するけど、「やる気」は最後にかけ算の形で総合力に影響するわけですね。
「しかし、それでもやる気というのは過大評価されるべきではない。特に、人の上にたつ人、管理職やプロジェクトマネージャーに関してはこの点は見逃されてはいけないんです。マネージャーは、いかにやる気がない人たちをうまく使うか・働かせるか、が力の見せ所。最初から全員がやる気満々である前提なら、そもそも管理職など必要ないじゃないか。
やる気がある人には、やる気があることが前提とならない大勢の部下を使いこなせない。彼にしてみれば『やる気がない』ことが信じられないし、『やる気がある』ことを前提にして接してしまうし、『やる気がない』人をどうすればうまく使えるかなど知る由もない。そんな人にどうして、人を動かす極意をつかむことが出来るというのですか?」