—— 先生は、公共投資に頼らざるを得ない日本の経済構造についてどう思いますか。
バカ言っちゃいかんよ。頼らざるを得なくなんかないんだ。誰がそんなことを決めたんだ? 景気を良くしようって言ったって、みんな国の財政も年金がもらえるかどうかも、とにかく先のことが不安だからお金を使わないんだ。これ以上国が赤字をたれ流して公共投資したって、誰も景気良く消費を拡大したりなんかしないよ。
—— やはり政治家が票を欲しさに、地元に公共事業の仕事を配ろうとするのがいけないんですよね。
いけなくなんかないさ、彼らを飢え死にさせるわけにはいかんだろう。でも、道路やトンネル、橋なんか造ったってダメだよ。使わないんだし、維持費がかかるじゃないか。通行料を取ったって全然ペイしない。
これからの時代は、ピラミッドに限ると思うね。地方の土建業界に、どんどんピラミッドの建造を発注すればいい。古代エジプトだって、民を食わせるために巨大なピラミッドを造ることで仕事を労働を創出したって言うじゃないか。日本もこれからはピラミッドだね。ピラミッドは維持費もかからなそうだし、あの安定した形なら地震があってもへっちゃらだろう。それに何たって観光資源になる。
いいじゃないか、ピラミッド。公共投資依存体質と垂れ流し財政の象徴にふさわしいよ。東京湾アクアラインの川崎側の浮島取付部の換気施設は、ピラミッド型の屋根で飾られているんだよ。これが意味していることさ。