—— 先生は、オリンピックを中止にするべきだという、かなり過激な発言をなさっているようですが、その思うところはなんですか。
それはこの前言ったとおりだ。オリンピックなんてやめちまえばいいんだ。いいことなんか、何一つない!
次のオリンピックはなんだって?、アテネでやるそうじゃないか。ちょうどいい、最終回としていっそのこと盛大にやりゃぁいいじゃないか。
—— しかし、オリンピックでのメダル獲得を目指して日々訓練をつんでいる選手達から見て、オリンピックがそう無意味なものとも思えませんが。
何を言っているんだ。陸上競技や水泳なんか、何も一同に会してやる必要なんかないじゃないか。記録を争うんだったら、一定の条件を満たした競技場で、裁判官かなんかの立ち会いの元で記録を測定して、それを比べればいいじゃないか。オリンピックじゃないところで出しても世界記録は世界記録。
そもそも陸上なんて言うのは、相手との闘いじゃなく、単なる記録のくらべっこだ。オリンピックでたまたま強敵に勝ったからと言って、なんの意味もない! そんなことより、日々記録を目指してやっていけばいいんじゃないかね?
—— オリンピックは何も陸上競技だけじゃないですよ。柔道だってそうだし、野球やサッカーなどゲーム的な要素があるものも多いと思いますが……
野球か。あれは大体、矛盾だらけのスポーツだ。考えても見なさい。棒きれで玉をひっぱたくわけだが、何ともこれが、ちょっとかすってゴロやフライになるよりは、空振りの方がよっぽどましなわけだ。どう考えたって、かすった方のが、技術的には勝っていたということにならんかね。
それに、あの一塁はなんだ。二塁は走り抜けたらタッチされるとアウトになるのに、一塁だけどうしてあんなに特別扱いなんだ? 走り抜けてしまってもボールより早く一塁を早く踏んだらよいなんて、おかしいよ。なんの合理性もない。
—— しかし、それがルールですからね。どんな競技にもルールというものが……
だからそのルールがおかしいと言っとるのだ。野球のルールはどうみても崩壊している。そのいい例はインフィールドフライを審判が宣告しなくては成り立たない点ではないか。ランナーがいるときの内野フライは、守備側はわざとワンバウンドで拾い、ゴロとして処理したら重殺ができるのを、無理矢理防ごうとした結果だ。
—— オリンピックは一種のショーであるという見方もできるのではないでしょうか。我々に感動を与えてくれます。
私が言いたいことの一つは、選手がボロボロ泣くところをやたらとテレビで映すなと言うことなんだ。何なんだ? まるで汚い泣き顔を見るためにテレビを見ているかのようだよ。全然スポーツマンシップじゃない。
インタビューなんか、まるで泣かせればインタビュアーの勝ち、と言った感じじゃないか。冗談じゃないよ。彼らは闘って、勝った。それで十分じゃないか。お仕着せの感動なんかいらないよ。