合併新市は「由布市」 湯布院町の観光協会は反対
自治体の命名について
2004.6.4
合併新市は「由布市」 湯布院町の観光協会は反対
大分県湯布院、挟間、庄内の3町の合併協議会が3日、庄内町内であり、来年3月に誕生予定の新市の名称が「由布市」に決まった。この名称については「湯布院町のイメージが拡散する」として同町の観光協会などが使用に反対しており、今後、混乱も予想される。
中国新聞のサイトより
湯布院町の観光協会の気持ちも分からないではない。だが、そういうことではない。私は言いたい。自治体の名前を、自治体が自分たちで決めること、それが本当はおかしいのだ。
こんなことを言うと、地方分権に逆行すると批判されるかも知れない。だが、名前を決めることが自治なのではない。イメージ戦略を狙って、あちらこちらで勝手な自治体名を決められては困るのだ。
そんな中で、本件の「由布市」などは実は構わない方なのだ。「さくら市」とか「南アルプス市」とか「さいたま市」とか、そういうのは困る。名称というのは、他人からみて分かりやすいことが重要で、そもそも他人がそれを他と区別するために用いるためのものだ。 特に自治体名・地名のような公共性の高いもので、勝手にさわやか系で名称を固められたら困る。銀行の合併ブームで「さくら銀行」「あさひ銀行」「りそな銀行」など紛らわしい名称が増え、困った人も多いだろう。それと同じだ。
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日本だって海外では「Nippon」ではなく「Japan」と呼ばれる。その日本も、United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland を「イギリス」と勝手に呼んでいる。名称とはそういうものなのだ。自分の名前だって、自分で決めるのではなく、親に付けられるのである。自分で自分のことをどう呼ぼうが勝手だが、それを周りに強制できるものではない。変なあだ名を付けられたって、文句は言えないのだ。
私は、自治体の名称は、歴史的経緯や世間での認知度などを元に候補をしぼり、それこそ総務省(旧・自治省)が法案として国会に提出して、国会で審議して決めるべきだと思う。そうすることで、全国的にバランスをとり、分かりやすい名称をつけるのが合理的だ。広島市(広島県)と北広島市(北海道)、東村山市(東京都)と武蔵村山市(東京都)と村山市(山形県)なども、「第一広島市」「第二広島市」と名前を振り直したって良いぐらいなのだ。
繰り返すが、由布市はまだ良い。周りから見れば、「由布岳の周りの地域」ということでしっくり来るからだ。だが、これから数年のうちに、どこにあるのかさっぱり分からない、おかしな“ひらがな自治体”が次々と誕生するのは目に見えている。その前に、命名こそ中央集権でバシッと決めていくというルールを整備して欲しい。
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