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永田議員の偽メール問題や、柳沢大臣の産む機械発言などに際して、マスメディアの報道姿勢を見ているとしつこくてうんざりするものがあります。何としても辞任に追い込んでやるという執念を感じることがあります。また、企業の不祥事に際しても、社長の進退に関してすごくこだわります。
確かに不祥事に際しては、謝罪と反省をして欲しいとは思いますが、辞任だけが責任を取る唯一の方法ではありません。国会の審議を止めるほどの騒ぎにしたり、他の大切なニュースを報じるのを犠牲にしてまで、えんえんと責任を追及するのはあまり健全なことではないでしょう。このマスメディアの姿勢は、国民・視聴者一般の関心の深さとはかなりの乖離があるように感じます。
進退問題になるとマスメディアが蛇のようにしつこくなるのには、理由があります。
マスメディアの大義名分的な存在意義として、「権力の監視」「体制の批判」という役割があります。これをもっとも端的に表現でき、(そしてここが大事なところですが)マスメディア自身の影響力を誇示できるのが、誰かを“辞任に追い込む”ということなのです。
本当は、影響力の誇示の仕方は他にもあります。しかし、辞任に追い込むのは、安直で都合がよいのです。相手が悪いと分かっているときに、それを叩きのめすのは、自らが正義のようで引き立ちます。概して、頭脳レベルの低い報道機関ほど、こういうときに威勢良く、そしてしつこくなります。
しかし、実際には辞めなければいけないほど悪くもない場合にも、こういった安直な手法が濫用されて、不必要に「辞めて当然」という空気が醸成されてしまうこともあります。これは大変な弊害です。