解散宣言・「正しい日本語を守る会」
激辛
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2004.11.6
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私にとって、「激辛」という言葉のイメージは、「ひぇ〜」とか「ハッ、ハッ」とか、「みず、みずぅ」とか、そういうものだ。だから、そのくらい強烈な辛さを「激辛」と表現・表示して欲しい。なぜって、「辛い」という言葉があるのだから、少なくとも「激辛」とは「辛口」のワンランク上の辛さにのみ使うべきであることは当然だ。
しかし、この単語には明らかに、ありがちな「言葉のインフレ」傾向が見られる。最近は、大して辛くなくても「激辛」とうたっている商品が多すぎるのだ。
本来、辛さの目安として表示するなら、カレーでよく見られるように、「中辛」「大辛」の次に「激辛」が来るぐらいの数段階表示が望ましい。
どうして「激辛」という言葉が安易に使われるかと言えば、まず思いつくのはクレーム回避の行動としてということだ。注文してから、または買ったあとに、辛くて食べられないというクレームを付けられるとメンドウだ。だから「辛いのが苦手な人は注文するな」という警告として、やや強い言葉を付けているのだろう。加えて、辛いのが好きな人に対しては、魅惑の修飾語となって購買意欲を刺激する。
だが、「激辛」と書いてあったのに大して辛くなかったという多数の経験は、継続的に私に失望を与え、ついに私は「激辛」と書いてあっても買うまいと決意するに至った。
「激辛」が濫用される背景には、現代っ子(死語か?)の矛盾した嗜好があるのではないだろうか。
最近の若い人たちは、辛さにめっぽう弱いと私は思う。特に、寿司をわさび抜きで食する人の何と多いことか。私の家の最寄りのスーパーでは、折り詰めの寿司が全てわさび抜きで作られている。
一方で、最近の若い人たちは、辛いものが好きなのだ。“暴君ハバネロ”に代表されるように、辛さを売りにした商品はいろいろ出る。しかし、「すごく辛そうなネーミング」「すごく辛そうなパッケージ」に比較して、その実たいして辛くないという商品ばかりなのである。
大して辛くもないクセに「激辛」と言うな。辛口=激辛ではない。辛口≪激辛なのだ。
【執筆のきっかけ】
ファーストキッチンの「ハバネロチリドッグ」を食べて、上記のようなことを考えていました。
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