「小岩のどこですか?」
「駅の南東300mくらいの場所です」
「それじゃ分かんないんですけど」
「サンロードから一本入ったところになります」
「知りませんよそんなの」
「じゃあどう説明すれば良いのですか」
「住所を教えて下さい」
「えっ、私の住所ですか?」
「違いますよ、事務所の住所に決まってるでしょ」
「事務所には誰も住んでおりません」
「書類を送りたいんですよ。事務所の場所を千代田区中央町1-2-3みたいに言って下さいよ」
「最初からそう言って下されば」
「言えるもんですかそんなもん!」
そういうわけで、「“千代田区中央町1-2-3”みたいな表現方法」に対する名称が必要なのである。
ちなみに、これは法律的には
住居表示というものに該当することになる。しかし、これでは何の解決にもならない。この法律の第二条では、驚くべきことに
> 市街地にある住所若しくは居所又は事務所、事業所その他これらに類する
> 施設の所在する場所(以下「住居」という。)
と定義しているのだ。もっとも、法律用語が一般に使われる言葉と用法が異なる例は、「善意」や「業務」の例を挙げるまでもなく枚挙にいとまがない。その一つと解釈するべきなのであろう。
従って、適切な口語として、「住居表示」を指す別の名詞の登場が望まれるのである。
※「地番」というのも、「会社の住所」に使える言葉ではありません。
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