解散宣言・「正しい日本語を守る会」
空車
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2004.2.21
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タイトルの“空車”を見て、何を想像しただろうか。これも紛らわしい、おかしな言葉である。
駐車場などで、空きがある場合を「空車」と呼ぶことがある。これは「満車」に対応する。
タクシーで、人が乗っていない状態を「空車」という。これは「実車」に対応する。
この違いは一体どういうことなのだろうか。
タクシーの場合、「クルマの中が空っぽ」という意味であり、駐車場の場合は「駐車場にクルマが空っぽ」という意味なのであろうか。どうやらそうではなさそうだ。駐車場の「空車」は、「満車ではない」という状態を指すのであって、「駐車場が空っぽ=クルマが1台も停まっていない」状態を指すのではないからだ。
実は「空車」というのは一例に過ぎない。紛らわしいのは「空」という漢字なのだ。駐車場の場合は、「から」ではなく「あき」と読むべき用法なのである。「から」と「あき」は全然違う。「から」は「1つもない」であり、「あき」は「1つはある」という意味だ。これを一つの同じ「空」という漢字をあてがっているのは、大変良くないことなのだ。
「空いている」とつづった場合に、「あいている」とも読めるし「すいている」とも読める。もっともこの場合は、どっちの読み方をしても「一つはある」という状態を指すことになるので読み方の紛らわしさこそあれ実害はそれほどない。
しかし、上記をふまえてもなお、駐車場の「空車」という言葉はおかしい。空いているのはクルマではなくて、駐車スペースなのだ。「空場」とか「空アリ」などと表現する方が本来なら妥当なのだ。
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