解散宣言・「正しい日本語を守る会」
民間人の閣僚
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2003.9.22
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小泉首相が自民党総裁に再選され、小泉第2次連立改造内閣の顔ぶれが明らかになった。自民党の青木幹雄参院幹事長や、森喜朗元首相などが、「国会議員中心の内閣を」と主張して暗に竹中平蔵経済財政金融担当大臣の交代を求めていた中で、「民間人」である川口順子外務大臣や遠山敦子文部科学大臣は殆ど交代が確実とされていた。
……というのがここ数週間の流れであった。ところが、ふたを開けてみれば、川口順子外務大臣は再任であった。
こういう記事を読んでいると、大変な違和感を感じる。というのは、「民間人」という言葉の使い方が、普段とだいぶ違うように感じるからだ。
経歴を見ると、川口大臣は昭和40年通商産業省入省で、平成5年に退官してからサントリー取締役・国務大臣環境庁長官などを歴任している人物だ。遠山前大臣は昭和37年に文部省入省して平成6年には文化庁長官まで上り詰め、平成8年からは駐トルコ共和国大使や国立西洋美術館長等を歴任している。
こういう人を果たして「民間人」と言うのだろうか?
私から言わせれば、「官僚の中の官僚」とも言うべきキャリアを辿っている。「民間」とは「官」以外であると私は思っているから、こういう人たちをして「民間人の閣僚」と言われたのでは、騙されたような思いなのである。
三省堂の大辞林によれば、
みんかん-じん【民間人】
公的機関に属さない人。
みんかん【民間】
(1)一般庶民の社会。世間。
「―に伝わった伝承」「―の声」「―信仰」
(2)政府などの公的機関に属さないこと。
「―会社」「―人」
とあるが、この人達を「民間」と呼ぶ根拠をぜひ知りたい。大手新聞サイトでも今回の顔ぶれで、川口順子外務大臣をハッキリ「民間」と書いている。なんと自民党の公式ページでも、閣僚の名簿に「民間」と書いてあるのだ。
「民間」とは「国会議員以外」を指す言葉ではない。
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