最近腹の立つこと
シート背面のネット除去は、 サービスの大幅低下だ
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1998.3.1
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新しい新幹線の車両では(あるいは、特急の車両でもそうなのかもしれないが)、席ごとに正面についていた、ものを入れるための網がなくなってしまった。前の人のシートの背面についていたやつだ。それでどうなったかというと、かろうじて雑誌などをおけるように工夫した跡のうかがえる、奇妙なバンドがついている。
この物入れのネットは、列車の設備の中でも非常に便利なものの一つであった。それをなくそうとする業者側の意図は推測可能だ。ネットの中にゴミを残して行く“不届きな”客がいて、清掃に手間取るからと言うのがその動機だろう。
ネットにゴミを残すことの是非については、個人差があろう。最ももっともらしいのは、次にその席に乗ってくる乗客に不快感を与えないためにゴミを持って降りるべしという論理だ。しかし、終着駅に関してはこの理屈は当たらない。大体、新幹線ほどべらぼうな料金をとっておいて、ゴミの始末くらい業者側で行うのは当たり前である。清掃に手間がかかる分、運賃にはねかえるだとか、すぐに折り返し運転ができないだとか、まるでネットをなくすことがサービス向上のための一環であると彼らは言いそうなものである。だが、もしそうならサービスというものに対する考え方が著しく乗客ニーズから乖離している。
われわれはこれ以上鉄道業者の暴走を許して良いものなのだろうか。頼んでもいない液晶テレビを通勤電車につける一方で、本当に必要な設備を平気で犠牲にするとは何事か。私はネットがついていた時代ならたまにはゴミを持って降りようという殊勝な気持ちにもなったものだが、これからバンド式の車両では必ずゴミを残して下車するだろう。そうしない限り、再びネットを装着した列車が走り出す日は来ないと思うから。
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