最近腹の立つこと
旅館でご飯をおひつで提供する件
|
2012.2.20
|
旅館における食事では、おひつによりご飯を提供する習慣が根強い。おひつのご飯が結構残ってしまい、心苦しく感じたことはないだろうか。
私は元々少食であるし、加えて、夕食時には酒類を楽しむこともあり、殆ど米飯を口にしない。なので、おひつのご飯の半量も消費しないことが多い。そもそも、全部食べることが前提の量とまでは思えないので、「残した」ではなく「残った」という感覚だ。
この残ったご飯は、どのように処理されるのであろうか?
従業員のまかないに供するという説
従業員が、客の残り物を食べるのでは気の毒である。客に提供しなかった残り物なら、良い。だが、一旦、客席(客室)に提供したものは、衛生面、安全面から問題があるだろう。客室で異物混入の恐れもあるし、伝染病に感染した客が、食べきれないご飯をおひつに戻した可能性だってある。
普通に再利用して出されるという説
残ったご飯は、普通に、(場合によっては雑炊などに再調理され)客に提供されるという可能性もあるだろう。炊飯器に戻し、保温して翌朝出すという可能性だって否めない。これは言語道断で、客が残した焼き魚を再度あぶって別の客に出して廃業に追い込まれた「船場吉兆」と同じだ。
廃棄するという説
これが、唯一の正しい処理方法で、このように処理されていると信じたい。だが、勿体ないという問題が残る。
こういうことを考えると、食事をおひつで出すこと自体をやめれば良いと思えてならないのである。私は、事前にチャンスがあれば「おひつのご飯は少なくして」というが、それでも、余らなかったことはない。日本旅館のおもてなしの思想に、「食べきれないほど出す」という要素があることは否めず、少なからず影響しているのだろう。
一方、おひつによるご飯の提供は、運ぶ回数を減らせるし、おかわりのたびに客を待たせずに済むというメリットがある。なので「やめるべきだ」とまでは言いにくい。
おひつを廃止しない次善の策としては、「希望の客にはおひつで提供」とするか、「目安として何杯分をおひつに用意して欲しいか」を聞くという方法が考えられる。旅館でもてなしを受けるにあたり、これほど無粋なことはない。
ある程度「余る」のは仕方がないことである。私が知りたいのは、旅館が炊いたご飯のうち、どのくらいが廃棄されているのかということなのかも知れない。全てのおひつを平均して8割がた消費されているのであれば、おかずの消費率だってそのくらいのものだろうし、おひつ使用のメリットが上回っていると言えるし、安心だ。
「最近腹の立つこと」に戻る