最近腹の立つこと
ピントのずれた、個人情報保護法
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2009.8.2
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「個人情報保護法」は、いったい何だったのかと思う。これほど、当初の理念とかけ離れた法律は珍しいのではないか。それとも、得てしてそうなってしまうものなのか?
個人情報保護という観点からは、最もやるべき政策で、一般に求められているであろうことは、いわゆる「名簿業者」の一掃であろう。簡単なことだ。金銭などの対価と引き替えに、個人情報を譲渡することを法律で禁止すれば良かったのである。この一点で、個人情報保護はほぼ十分だったはずだ。(ダイレクトメールやメールマガジン、訪問販売など各種勧誘行為の禁止等は、個人情報保護ではなく別の観点--例えば消費者保護に関する法律など--からの規制するのが本道である)
では、なぜそれができなかったのか? すぐに思いつくのは、名簿業者の反対だが、名簿業界がそれほどの力を持っているとは思えない。結局のところ、名簿業者から個人情報を入手して営業に役立て、利益をあげていた企業による圧力が大きかったのではないか。また、選挙運動にも名簿は欠かせないのだろうから、名簿の流通自体を禁止するのは、政党としても都合が悪かったに違いない。
その結果、骨抜きにされてしまい、まるでおかしな法律になった。今や、細かい字で書かれた「個人情報は、○○の目的で利用することがあります」という規約に[同意する]という署名をさせられたり、Webなら[同意するボタン]をクリックさせられる。同意しないとサービスが受けられないので、実質的な強制である。以前なら、「勝手に名簿を流用された」と文句が言えたが、今なら「同意したでしょ?」と言われてしまうことになり、明らかに個人情報保護法がなかった時代に比べて、事態は悪化しているのである。
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