「本社」はまぎらわしい言葉である。会社を意味する「本社」という言葉が指しているものは、次の両方の可能性があるのである。
・(支社じゃなくて)本社。(主に)社長がいる本社。本店登記されている本社。
・(一人称としての)本社。つまり、当社。弊社。
日常会話では、後者は普通「当社」と表現するだろうし、謙るときは「弊社」と表現するものだ。「本社」と言ったら紛らわしいからであろう。
しかしだ。なぜか新聞社は、自社を表現するときにやたらと「本社」を使いたがる。私はかつて、新聞に掲載される空からの写真に付記される
(写真)
噴煙を上げる三宅島。22日朝=本社ヘリより
のような記述を、東京本社のヘリコプターが撮影したものだと思いこんでいた。読者にとっては本社のヘリコプターでも支社(支局?)のヘリコプターでも普通は関心がないだろうから、何のために書いてるのか意味不明だと思っていたのである。
正解は、提供を受けた写真ではなく、自社で撮ってきた写真であるという意味合いなわけなのだろう。
その他にも、自社で調査したデータを公表するときは「本社調査」と表現する。近頃は朝日新聞社がNHKともめているが、朝日新聞におけるその関連の記事では、自社を表現する言葉はやはり「本社」なのである。
まぎらわしさを排除するため、「当社」と表現するべきではないだろうか。
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