—— 太田誠一・元総務庁長官が「集団レイプする人はまだ元気があるからいい」と発言したことについて、先生はどう思いますか。
全く良識に欠けるとしか言いようがない。あきれるばかりだ。
—— こういう常識のない人は、国会議員を辞職するべきなのではないでしょうか。
いや、それは違う。断じて違う。国会議員は、いろいろな考えの人で構成されることが重要なのだ。
都会出身の人、地方出身の人。学歴の高い人と、学歴のない人。家柄の良い人、良くない人。いろいろな出身の人が国会議員となって初めて、国会はバランスの取れたものとなり、民意の縮図と認めることができよう。
—— それは分かります。いろいろな人が国会議員になるべきというのは分かりますが、レイプを是とするような人と、これとは話が違うのではないですか。
いや、ちがくなんかない。
国会議員が常識人だけで構成されていたら、いつまでもこの国は既存の常識から抜けられない。違うかね?
かつてケプラーの時代に、地動説を唱えるなど、とんでもなく非常識で不謹慎なことだった。しかし、必要なときに既存の価値観や常識を覆すプロセスが取れることも、政治には組み込まれていなくてはならない。
殺人を是とする人が国会議員になったっていい。殺人はいけないことだと私は思うが、「殺人も是なり」とする意見そのものの存在を封じ込めるのは、殺人以上に危険なことではないかね。思想や良識のなさを以て議員の席を追われるというのは、正常なことではない。
今に、安楽死問題や、高齢者への医療補助打ち切り、その他で、こういった既存の倫理や常識を覆さなくてはいけないときが来るかも知れない。