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思想家T氏が語る
(山手線新駅の再開発に反対)
2014.6.14
——   東京・山手線に、30年ぶりに新駅ができるとか。先生は、例によって、駅が増えることには反対ですか?
 駅が増えること自体は構わん。もともと、品川〜田町間は、都会にしてはけっこう距離があった。しかし、今回のは、駅が増えることはおまけに過ぎない。私はもっと根っこの部分に反対だ。

——   どういうことですか?
 今度の計画は、JR東日本にとっては遠大なものだった。まずは、東北縦貫線といって上野〜東京駅に複線を高架で増設し、東北線と東海道線の直通運転を行なう。それによって、車両運用を効率化し、品川・田町間の車両センターを縮小して、跡地を再開発する。新駅設置はその再開発地のてこ入れが目的だ。金の亡者の考えそうなことだ。

——   何がいけないのか分かりません。
 車両基地のように、広大な土地を必要とするものは、後から造るのは難しい。せっかくそのような土地があるのに、それをありきたりの複合施設に再開発するなど、とんでもない話だ。

——   どうしてですか。
 交通網は、国家百年の計の視点に立って計画するべきものだ。仮に鉄道基地が不要になったとしても、未来交通機関の発着点とかに転用できるかも知れないのだ。

 ちょっとでも遊休地があれば、すぐに有効利用と称して「何とかヒルズ」のようなものをつくろうとするのは、あさましい。緑地に転用するのなら、私も賛成だ。またいつでも、他の用途に転用できるからだ。

 しかし、「何とかヒルズ」は、もう東京にはたくさんあって、これ以上要らないし、貴重な大規模敷地を使って造る価値のあるものではない。

——   でも、企業としては利益を追求するのは当然です。遊休地があればそれを活用するのは当然ではないのですか?
 それこそ、欧米のハゲタカファンドや、MBA上がりのエセ経営者の悪弊なのだ。

 どこかの社長が言っていた。企業というのは、潤沢な遊休資産を背景に、初めて、ゆとりのある経営ができるのだと。目先1年で利益を出して株主に還元するのでなく、10年先を見据えた経営をするには、そういう余裕が必要なのだ。

 ファンドのような株主は、埋蔵金を全て吐き出させれば満足だろうが、それでは村上ファンドや、欧米のハゲタカと変わらないではないか。いざというときに頼れる含み資産があって、初めて、リスクも取れれば、大胆な戦略も、そして何よりじっくり腰を据えた経営ができるのだ。

——   なるほど。で、「何とかヒルズ」って何ですか?
 六本木ヒルズとか虎ノ門ヒルズとか、いろいろあるだろう! 森ビルが節操もなく作り続けている、オフィスとホテルと商業施設の複合体だ。あんなものがこれ以上できてどうする? 国家百年の計で見たときに、広大な車両基地と、「何とかヒルズ」のどっちが価値があるか、論じるまでもない。

——   じゃあ、ヒルズ禁止法ができたらいいですね(笑)
 そうだな、それは良い。

 都市とは、一件無駄に見える部分にこそ、可能性が詰まっているのである。それこそ、都市の深さだ。一分の隙もないほど、ヒルズの類で埋め尽くされた都市には、もはや魅力もなければ、未来もないし、何もないと言って良い。

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