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オリンピックが始まりましたね。盛り上がってきました。
また、始まったな。全く、白々しくて話にならない。
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何がですか?
まず、真夏に家でオリンピックを観戦するというほど、節電に悪いことはない。エアコンよりも大きな消費電力のテレビを、真っ昼間に、個々の家でクーラーをつけて見る。最悪だ。
本当に節電が必要なら、市民ホールなどでパブリックビューイングを行い、家に閉じこもらないことを推奨すべきだ。まあ、上映権の問題で無理なのだろうが。
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確かに、節電には悪そうですね。
だが、テレビは、そのことに一切触れない。それはそうだ、高い金を出して買った放映権で、高視聴率を取って儲けさせてもらわねばならないからな。だが、政府も電力会社も、「昼間に家でオリンピックを見るな」という要請はしていない。要するに、節電は本当のところ不要だということだ。
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なるほど。
それに、今回のオリンピックは、テレビ各局と電通が、なりふり構わず感動を盛り上げて、東京オリンピック誘致への気運を高めるのだそうだ。メダルが取れようが、取れまいが、五輪誘致へつなげる演出をするらしい。だから、わしが前から言ってきている「お仕着せの感動」のオンパレードになることは確実で、うざいどころか逆に白ける。
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なぜ電通なのですか?
なんでも、東京開催ともなれば、JOCを中心とした大会の運営の実働スタッフとなるのが電通であり、オリンピックをまるごとプロデュースできて丸儲けらしい。
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しかし、それはおいといて、日本人選手の活躍ぶりを応援するつもりはないのですか? 先生がこれほど愛国心に欠けるとは思っていませんでした。
冗談ではない、そんなもの愛国心でも何でもない。
選挙の投票も行かず、反原発デモなどに参加したりもせず、オリンピックで日本を応援することが「愛国心」だと思っているなら、とんでもない話だ。
本当に必要なことをせず、スポーツ祭典で日本を応援して「愛国心」を満たしているのは、都合の悪いことから目を向けている「後ろめたさ」があるからこそだ。その「贖罪」に、スポーツ祭典を利用した似非の愛国心で、自己欺瞞に逃げているだけだ。そんなことだから、オリンピックは、百害あって一利無しなのだ。