違うのだ。
「お酒が飲めないこと」が淋しいのではなくて、
「お酒が飲めないと思うこと」が淋しいのだ。
——
え?
大事MANブラザーズバンドの歌を知らないのか。彼らの唯一のヒット曲「それが大事」の中では、そのことが歌われている。
——
お酒の歌だったのですか?
実際、夕方になって牛丼やラーメンでも食べてしまえば、腹いっぱいで、別に酒を飲みたいなどとは思わなくなる。腹がまだ減らぬうちに寝れば、飲みたくもならなければ、淋しいとも思わぬ。
問題は、朝から夕方までの時間帯なのだ。この間は、「ああ、今夜は酒を飲む楽しみがないのか」と思うから、たまらなく淋しい。まるで、
誰もいない遊園地のようだ。
——
なるほど、休肝日で辛いのは、本来飲むはずの夜の時間帯ではなく、むしろその前の昼間の時間帯だと?
だから、なるべくなら休肝日など前もって決めない方がよい。夕方になって、たまたまそれほど飲みたくなくて、むしろラーメンでも食べたいときには食べてしまって休肝日にすればよい。そうすると、「休肝日の日中」という悪魔の時間を過ごさなくて済む。
——
それは、良い考えですね! しかし先生、最近の研究では、休肝日というのは本質的に不要で、1週間に飲む酒の総量を抑えることの方が大事だそうですよ。
酒の総量を抑えていれば、酒を抜く日は不要である、それはまことであろう。しかし、わしが休肝日を取るようにしている真意は、実は別のところにある。
その気になれば休肝日を取ることができる。そのことによって、自分自身がまだアル中つまりアルコール依存症でないことを証明し、確かめているのだ。
——
そ、そんなに深刻なのですか(^_^;