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思想家T氏が語る
(これからの世代が映画を楽しむために)[シリーズ 3]
2011.8.31
(「(先の暗い音楽業界)」からのつづき)

——   音楽という分野だけが、先が暗いわけではなさそうですね。
 もちろん、そうだ。最も深刻なのは、映画だろう。映画の分野では、最初の20年で、やれることはやり尽くされたと言われてきた。

——   子どもの頃は、面白い映画が多くて興奮したものですが、最近はあまり感じません。年をとったせいかと思っていました。
 娯楽産業全般に言えることだが、人は、だんだんと、より上質なものを経験していくようでないと、満足はできない。グルメの分野では、よく「舌が肥える」というようなことを言うが、まさしくそれだ。

 昔見た「すごく面白かった映画」を、今見てみると、それほどでもないと感じることがあるだろう。

——   はい。
 映画のストーリーや仕掛けにもパターンがあるから、映画を見た蓄積が少なければ、なんだってそれなりに面白く感じる。しかし、映画をたくさん見るにつれ、パターンをたくさん知ってしまっているから、昔思ったほど、斬新には感じない。単に昔一度見たからではない。映画そのものに飽きているということだ。

——   若い人は、いろいろな映画に感動できて幸せですね。
 ところが、近年、全く違ってきた。今の若い世代は、生まれて初めて見た映画が、「ターミネーター」や「タイタニック」だったりするのである。こんなことでは、実に不幸である。

 上の世代であれば、「ローマの休日」や西部劇などに夢中になり、そして「スターウォーズ」や「ダイ・ハード」を経て、「タイタニック」に至るのである。個々の映画に優劣を付ける意図ではないが、映画産業の成長と共にあった世代は、年々公開される映画によって、刺激を受けつづけることができた。

——   確かに、いきなり「タイタニック」から入る世代はキツイでしょうね。
 そうだ。だから、これからの子どもたちには、いきなりそんなものを見せてはいけない。過去の名作は全て、10歳までに見て良い映画、20歳までに見て良い映画、と指定しておくべきなのだ。

 10歳になるまでは、「無法松の一生」や西部劇、アニメなら昔のディズニーを見なさい。10代になったら、スターウォーズ解禁。ジブリのアニメは10代後半まで取っておきなさい。1990年代の映画は、20代後半まで取っておきなさい。

——   こ、子どもに時代劇と西部劇ですか?
 そこは考えないといかんのう。

(「(泣かせる映画が、名作なのではない)」につづく)


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