解散宣言・「正しい日本語を守る会」
お召し上がり下さい
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2014.4.22
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以前に、ファーストフード店が「店内で」を省略して「お召し上がりですか?」と聞くのはおかしいという記事を書いた。そこで、ついでに「お召し上がる」という表現が美しくないという指摘をしたが、よくよく考えると、「お召し上がり下さい」という日本語は完全に間違っているのではないか。
「本日中にお召し上がり下さい」「温めてお召し上がり下さい」など、良く目にする言葉であるが、まずこれらは「本日中に召し上がって下さい」と書く方が適切なことは疑いがないだろう。
一方で、敬語には「お+○○+になる」という形式がある。「お休みになる」「お話になる」などは正しい尊敬語だし、「お食べになる」も美しくはないが形式としては合っている。
だが、「お召し上がり下さい」は、この形式になっていないので、二重敬語と解釈しても成り立たない。「お召し上がりになる」なら正しい。「本日中にお召し上がりになって下さい」と書けば、正しいが、一般消費者向けにここまでの敬語を使う必要はなかろう。
「お召し上がり下さい」という言葉を活用させてみると、この言葉が成立していないのが分かる。「召し上がらない」「召し上がります」「召し上がる」「召し上がれば」と活用していけるが、「お」をつけると、変だ。「お召し上がり下さい」という言葉を普段使っている人も、否定形にすると多分「お」は付ずに「召し上がらないんですか?」と表現するだろう。「お召し上がらない」ではさすがに変だからだ。
文法的に成り立つ解釈としては、「ご理解下さい」の「理解」と同じように、「召し上がり」という一語でこういう単語だと考える方法がある。だがこれは屁理屈の域を出ない。
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